utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:18

昔ベッドの横に小型の本棚を置いていた。その本棚に安全圏という名前をつけていた。

転職する友人が多い。一人の友人は大学時代週5で働いていたバイト先が好きすぎたものの、働くには難しいということで一年経ってから他の業種についたものの、その店も苦手だったらしくまたもとの店舗で戻って働いている。別の友人は上京してから土日が休みじゃないのがさびしいということで辞め、無事転職できたものの、地元に戻って別の仕事に就きたい願望があるらしい。

大学のキャリアに関する授業でも先生は3年まで働いて考えるように、これからあなたたちにはつらいことはあるけどがんばってください、みたいなことを言っていた。

 

大学の最後の年に短期の派遣アルバイトをしていたことがある。その中で一回電子タバコの出荷の仕事をしていた。僕以外に一人同じく大学生がいた。ベルトコンベアを流れてくる箱に僕がスプレーのりを吹きかけ、もう一人の彼と社員の人たちがそれを積み上げるという作業をする。途中で作業を交代することになった。どういう風に作業をするかは説明されずに作業をしていく。ミスすると怒鳴りつけられ、もう一方の彼は社員の人と談笑しながら仕事を進めていた。帰り道彼と話した。彼も読書好きで、森見登美彦の本が好きらしかった。

別の日に入った仕事は、サラダを袋詰めする仕事だった。レタスなどのいろんな種類の野菜をテーブルの上に置き、上から重ねてひっくり返す。机の上から落ちた野菜はそのまま捨てる。「農家の人が作った野菜だから残さず食べなさい」とか「食べ物を粗末に扱うな」という人たちがこれを見たらどう思うか考えながら作業する。その仕事では僕以外に40歳くらいのさえなそうなおっさんが働いていた。正社員の人は割とどーでもいいミスでその人に当り散らし、僕のミスにはやさしかった。スケープゴートという言葉を思い出した。

 

辞めるにしろ辞めないにしろ、自分の見てきた中で仕事が楽しいって人はなかなかいない。 程度の差こそあれ、人にとって労働ないし仕事はそりゃ嫌だろう。辞めないと生きていけない、となれば当然やめたほうがいい。勝手な言い方もできないし、転職での不安要素もあるだろうが。自殺者数は減少傾向にあるが、諸外国の中では6番目に高く、先進7カ国の中で自殺が事故を上回っているのは日本だけだ。戦争も学生運動も存在しない時代に重くのしかかるのがこの問題だろう。好きなことで生きていく仕事が子供に支持されるのも頷ける。

ただ、環境がいい場所で仕事をするとしたとき、9時~5時として一日の3分の1を使うなら自分のやりたい仕事・あるいは好きな仕事のほうがいい。学生の人たちは無理に仕事のことを考えるより、自分の好きなことを探してそれが結びつく仕事を探していったほうがいい。さらに付け加えると矛盾するようだが、仕事はつらいっていうことを意識するっていうのも大事だと思う。当たり前のようだが大事だ。お金をもらうわけだから多少は苦しいものがある。大事なのはそれが理にかなっているか、それによって報酬があるかだ。社会人になって「どちら様ですか?」と聞かれたときに話すのは自分の仕事だし、子供の頃に書く「夢」はスーパーカーに乗りたい、とかじゃなくて「進路」のことだろう。

でもそれは自分の一面だ(もちろんそうじゃないものも一面だ)。なりたかったものになれなかったからってそれで終わりなわけではない(もちろん憧れの職業についたからってそれでめでたしめでたしなわけではない)。むしろそれが始まりで、そこからどうするかが重要だと思う。

広瀬すずの炎上騒動があった。確かに華やかな仕事についてみたいと思うのが一般的な見方だろう。ただ、テレビ局のスタッフほど好きでいなければやっていけない職業もないだろう(放送関連の部活にいたことがあったので裏方の人がどれだけ仕事が好きかっていうのがわかる)。逆に言えば相当しんどい演技の指導があって忙しいスケジュールをしているのに、いつ人気が落ちるかわからない仕事というほうが大変そうに感じる。(別に広瀬すずをdisってるわけじゃないが。チャルメラのcmかわいいし)。

裏方ということで思い出すのが僕が水曜どうでしょうのディレクター、藤村忠寿さんだ。スタッフという立場ながらトークにはかかさず登場する人物で、出演者の大泉洋さんとの口ゲンカはむしろ番組のメインとなっている。彼ももちろんhtbの社員だが、現在は自分の好きな番組の編集作業やグッズのプロデュース、果ては舞台出演など好きなことをやってサラリーマンとは言えないほど自由なことをしている(そもそも企画内容も好物の甘いものを食べる対決列島、好きなキャンプをするユーコン、飲み友達と行ったアフリカなど、仕事を満喫している)。この人の仕事とは、多くある職業の中から自分の好きなものを見つける、ということではなくついた職業から自分の好きなもの、ポジション、立ち位置を決めるということなのだろう。

この前のせたカニエ・ウェストの曲でこの回を締める。お仕事お疲れ様でした。癒されたいときには石田ゆり子のコーヒーのcmを見よう。

 

おはよう。卒業生代表を見てると未来に不安を感じているのがわかる。

俺はデロリアンに乗ってドライブしてるけどね。外の世界に出るのを怖がってるだろ。キャリア優等生だな。中には卒業してもバカやってる連中もいる。

まだ、これを読め、これを食え、見回してないで、これに集中しろ、なんていいながら

牧師さん、ジーザス、教えてくれ、ああ、空を見上げて

すると君の「ストリート性」が奪われたことに気づくだろ。それを経験したあと、授かるのがこれなのさ。おはよう。ーーーKanye west good morning

https://m.youtube.com/watch?v=6CHs4x2uqcQ

少年を 辞めるというのは ブックオフに 読みかけの本 売るようなこと