utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:22

他人の本棚を見るのが好きだ。

他人の服装チェックをするという人もいる。週刊誌の1ページ目にでてくるが、その本棚版である。

本棚は人の脳内を表すという。今で言えば情報ツールは紙から電子へと映っている(これも面白い。友達のyoutube履歴発表会とか。twitterの裏垢なんてほぼ思考の流れだろう)から一概にそうともいいがたいが。

田我流のゆれる(https://www.youtube.com/watch?v=nE1nzTE5ESA)で一瞬本棚が映ったとき必死にキャプチャ画像を調べた。34歳無職さんで主人公の読んでいる本を調べて図書館で借りる。友達の家に行ったときはCDラックも見る。

忘れていた記憶が眠っているという意味でも脳に似ている。本棚の掃除をしたとき、日記帳を見つけた。案の定、1ページで終わっている。そこには4年前のクリスマスのことが書かれていた。

~今日はクリスマスだ。まんじりともせず自分のおなかの毛をくるくる巻いて遊んでいると、チャイムが鳴った。こんな日に訪ねてくるなんて誰だろう。冴えない友達のAでも、一人でいるよりはマシだ。

そう思ってインターホンを取ると、なんと片思いをしているB先輩だった!あわてて部屋の鍵を開ける。どうしたんですか?と聞くと近くに来たから寄ってみた、という。部屋に上がってください、というとやんわり拒否される。そして小さい箱を渡される。クリスマスケーキだよ、という。感激のあまり立ちくらみをしそうになった。目の前にいる人は今日が誕生日の人の母親なんじゃないか。聖女なんじゃないかと考える。しばらくそのまま立ち話をする。

そしてB先輩が口を開く。もってわかんないの?中をあけてみると、2個のケーキが入っていたであろうフィルターが残っていた。バイトの男友達と遊んでたの!クリスマスに誘うなんて気が利いてるよね!そういい残し、彼女は去って言った。クリスマスに好きな人に会えて幸せだ。そう思って僕はすね毛を巻いて遊んだ。~

むなしい。僕はB先輩に会えたうれしさで箱の重さに気づかなかったのだ。あまりのことに何かに書かずにいられなくて、脳内のブラックボックスにこの思い出をしまいこんだのだろう。

本棚の掃除を続けると、本棚の一番底から2枚に折りたたんだ紙が出てきた。開くとハッピーバースデイの曲が電子音で流れる。中には家族から誕生日おめでとうというメッセージがサインペンで書かれていた。これも4年前のことだ。当時帰省もせず10年遅れた反抗期が襲っていた僕に向けて家族が送ったのだろう。ケンカして疎遠になった姉は大学時代は早いから楽しんでください。と書いてあった。妹はなぜかzebraheadのおすすめの曲を書いていた。

当時の僕は反抗期真っ只中。雑にしまいこんだまま、記憶の底に沈めていた。

本棚は人の脳だ。積み込んだまま読まない本は僕の虚栄心を象徴している。今の僕の本棚はちょうど右側にジョジョの奇妙な冒険がどっぷり詰まった漫画棚、左側にエッセー集や小説、下に行くと高校の頃に読み漁ったスティーブン・キング新耳袋がずっしり入っている(深層心理だ)ものの二つに分かれている。その真ん中で僕は「大泉エッセイ 僕が綴った16年」を読んだり(同い年の頃に書いたとは思えないおもしろさ)ブログを書いたり平野綾の写真集を読んだりする。

ダメ人間製造機である。

さみしいから ああさみしいから だからこそ 一日ずっと 動画を見るのだ