utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:33

 一番好きな形容詞は「でたらめ」だ。あるときには名詞かもしれないが。悪い意味で使われるでたらめは一見周りからはでたらめと思われないに違いない。周囲がでたらめであることを許容することによってそのものが生まれるのだろう。いい意味で使われるときは真逆といっていい。つまり価値がいい悪いではなく、斜め上に向けられている。僕の思うイメージはそんな感じだ。

スチャダラパーの曲で「あんた誰?」という谷啓とのコラボ曲があるがその2バース目でとある作家を揶揄しているが、その中の一節は「あんまし本とかは読まない僕だが その人の言うことはデタラメだから」というのがあり、そこから好きになったんだろう。ちなみにその作家の本も読んでみたが個人的にはあんまり・・って感じだった。

個人的に小説ででたらめなら、一瞬で考えるのが中島らもさんだ。一部の作品は(文学的な意味合いで)ツッコミがない。ボケまくりだ。

(いい意味で)めちゃくちゃなのが、とあるロックシンガー(この主人公の名前もパロディされている)が、スランプを抱えていたときにある人物からビートルズの幻となった名盤があると言われる。高い金を出して買い取ったその曲を自分のものと偽って出し、曲は大ヒットするのだが・・というもの。雰囲気もいい感じに胡散臭さがちりばめられており、オチではっとさせられる。抜群のエンターテイメントだ。

「見てきたものや聞いたこと 今まで覚えた全部 でたらめだったら面白い そんな気持ち分かるでしょう」こんな歌詞もあるわけで。

昔美術に関する授業で美術館を見に行くレポートの宿題がでたことがあった。僕は灘にある美術館を見に行った。駅からどんどん下っていく。坂道の下のほうは午前中の海やハイソサエティな建物が多く、小奇麗な雰囲気がかっこよかった。美術館の前のパンフレットを見ると横尾忠則美術館というものが紹介されていた。こっちに行ってみようと思い立ったが、方向が真逆だ。来た道を引き返し、駅を通り過ぎて上へ上へと登っていくと、さっきの雰囲気がガラリと変わり、いかがわしさがどんどん立ち込める場所となっていった。その美術館で見たものはもはや神秘的体験と言っていいほどデタラメのし放題であった。

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レポートは結局出せなかったが、強烈な印象を与えられた日だった。

東京ドーム 一個とおよそ半分の コーヒーゼリー カオナシみたい