utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:27

吉良吉影っぽいことをいうと、自分の手はそんなに好きじゃない。手毛も多いし、ささくれも多い。他の人の手にそんなに注意してみたことがないが、あまりいいものではないだろう。一回だけ褒められたことはあるけども。ちなみに鼻だけは松山ケンイチに似ているといわれたことがある。それ以外に有名人で似てる人を友達に聞いたとき、ワンピースに出てくる魚人以外にでてくる人はいなかった。

 

自転車に継続して乗っていたのが一年あった。一年経ってからはおそらく指定の場所以外に停めていたのだろう。いつのまにやら回収されていた。もったいないことをしたと思う。もっとも、僕の住んでいた場所は坂が多かったため、上り下りもそうとうしんどかったのだが、あれば行動範囲も広がったろう。自転車があらゆる交通手段の中で一番好きだ。夜中でも動かせる上に免許がいらない。夜中の2時。なんだかわけのわからない衝動につき動かされた僕は自転車に乗ってどこかへと走っていった。気がつくと海辺に来ていた。オレンジ色の街頭が誰もいない場所を照らしていた。海の近くに行くと夜釣りをしている人が4~5人いた。今でもあのときのことを時々思い出す。

大学の頃にドラッグストアでバイトしたことは前にも書いた。僕は雑な接客だったから人の顔なんてまともに見ない(土日のドラッグストアのレジ前は昔見た人口の密集で人類が滅亡する映画を思わせた)。人の持ってくるかごと代金を受け渡す手の平だけを見ていた。時々、おつりを受け取る人の手には傷跡があったり、タバコのやけどの痕があったりした。バイトが終わり、帰る車の中で泣いている女性をみたことがあった。

中学時代は通学がバスだった。その頃の一つ上の先輩とよく話しながら帰っていた。その先輩は他の子からすれば異端だったんだろう。いじめられていたようだった。あるとき僕がバスの席につくと先輩が自分の手を赤いボールペンで刺していた。真っ赤な手を見て完全に流血していると思った。学校でいやなことがあったらしい。その話の流れで彼が同性愛者だと知った。それ以上に手のひらの出来事が衝撃だったため、周りよりも僕はゲイへの偏見が少ない。

ある女の子と一時期仲がよかった。その子はファイトクラブという映画のマーラという役に似ていて退廃的で、医者から処方された薬をラムネのように飲むと言っていた。彼女のインスタグラムを見ると大日本プロレスのデスマッチばりに流血した画像だらけであった。その娘のすきなロックバンドを今もたまに聴く。

大学時代の友達はいつも輪ゴムをしていた。自傷したいときにはそれをかわりにはじくらしい。彼が失恋したとき、傍にいた。彼は回転寿司でたらふく食ってゲーセンで遊んでから帰っていった。あるときLINEで話していると、ものすごいグロい画像が撮れたから送るという。おそるおそる見てみたら猫の写真だった。ちがうやないかーいという。このくだりを2、3回繰り返して本物の写真を送られたときは腰を抜かした。

僕がこれまで会ってきた自傷癖のある人はあっけらかんとしてむしろ陽気なほうで、暗い様子や影のある部分を見せない。自分を傷つけることでバランスを保っているのだろう。

バイト代が出たら自転車を買いたい。

鼻わさびを しました思う ところあって あれはやらない ほうがいいです