utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:31

日常の疑問、というものはぱっとは思いつかないがゆっくち思い出してみると結構あるもんである。

かれこれ4、5年ずっと疑問だったのが図書館の貸し出しのときの謎である。貸し出しをするときなんだかよく分からない薄型の機械に本を揃えてそれに触れてから貸し出しをするのだ。バーコードリーダーみたいなので手続きはもう済ましているのに何をしているんだろうとずっと思っていた。最近になってレンタルビデオ店で自動レジが導入されるようになり、そこで(実態はよく分からないが)かぎのようなものがついていて、ある機械にかざすとそれが解除されるということを知った。おそらくあれに近いシステムがあるんだろう。それを知らずにゲートを通過してブザーが鳴り、パニックになったことがある。

他ではこんな謎がある。お風呂あがりにリビングにいくと、つけっぱなしのテレビが映っていた。ぼんやりとそれを眺めている。映画だ。主人公が寺のような何かの基地のような中に入っていく。すると後ろから敵が忍び寄る。主人公は降参し、死を覚悟する。大量の敵は降参を認め、去ってゆく。そして、主人公に何かの武器を渡し、去っていく。主人公は自分の負けを認めるセリフを言い、映画は終わる。

大してかっこよかったり感動するわけでもない。そもそも前半の物語が分からない。ぼーっとそれを見たが、あの映画がなんなのか分からない。おそらく映画の終わったあとにタイトルも出たはずだが、それも思い出せない。googleなどで引っかかるかなと思ったがメジャーな作品じゃないのだろう、出てこない。それが後に「プレデター2」だと知らずに見たときの衝撃ったらなかった。(昔のテレビはプレデターの、しかも2を流していたんだなぁ。いいなぁ)似たコンセプトの作品が「女優霊」。怖くて面白いのでお勧め。

いまだになんなのか分からない日常のミステリーもある。近所にある工場で、なぜか知らないがキャラメルポップコーンのにおいがする。一応その工場は食品関係の工場なのだが、全部が全部キャラメルってわけじゃないだろう。なぜか香ばしいかおりがするのだ。それに似たにおいは別の工場でもしたことがあるから、おそらく食べ物のにおいではなく、何かを燃やしたりしたときに出るにおいなのかもしれない。近所の工場でディズニーの気分になることができる。謎だ。

僕の住んでいたマンションでは夕方から夜にかけてふぉぉぉぉぉという不思議な音が鳴った。その音は何かの管を風が吹き抜けていくような音で、どちらかといえば管楽器に近い音がしていた。そう頻繁に起こることでもないから苦情もこなかったんだろう。そのマンションを出るその日までその音は続いていた。その部屋はどちらかといえば壁が厚いほうで生活するときの物音もあまり聞こえなかったが、その音だけはやたらと響いた。一度部屋の外でもその音を聞いたことがある。あの音は何だったんだろう。

普段は下宿先に帰るときバスを使うのだが、長い道のりをわざわざ歩いてかえることにした。そんなときに高層住宅の下の植木などが植えられている場所を歩くことにした。ぼーっと下を見ながら歩いていると、花などが植えられている近くに「○○ちゃん」と名前が書かれた石が埋められてあることに気づいた。じっと見ていたが、周囲に名前の書かれた石はない。なんなのだ。一瞬脳をよぎったのがその家の前で交通事故にあった子どもを慰めるためにおかれた、というもの。その次に思ったのがその花や木を植えた記念に置いた、というもの。あの石はなんなのだ。奇妙である。

成長していくと不思議に思うことがどんどん少なくなっていく。知っていないと恥ずかしいと思って知っているふりをする。あるいは知ったところで意味のないものには疑問を抱かないようになる。

日常にある謎を追い続けたい。

あの音は 声にならない 人の叫び 真夜中の原因 不明の物音