utsurobune’s diary

短歌を発表してます。

一人百首:23

僕たちは知らなくてはならない。

目の前に置かれた凄惨な現実から目をそらさずに。

僕たちは知らなくてはならない。

そう、そして知ることでこのことについてまだ知らない人へとこのことをより知ってもらうべきなのだ。

僕たちが知らなくてはならないこと。それは、

ネブカドネザルが古語ではなくバビロニア王国の王、あるいはマトリックスにでてくる船の名前で、決して

幾月や ねぶかどねざる 新雪の つもるるままに 朝をむかふる(どれだけねないで待っていたのでしょう。すっかり新雪がつもったまま朝を迎えてしまいました)

という古今和歌集にでてくるものではないということを。

イヌリンというものが植物によって作られる炭水化物の一種であり、ゆるキャラではないということを。

決してゆるキャラブームに乗じて作った地元のお城で配られるパンフレットに出てくる犬に羽の生えたキャラクターで城についての歴史を初めて城に来た中学生のゆうや君に紹介する設定上は妖精となっているものではないということを。

サマーソルトドロップがプロレス技であり、アイドルのシングル曲ではないということを。

決して2012年結成ら・まひストラるのメジャー3枚目のシングルで夏へ向かって友達から恋人へと移っていく心を、淡くはかない歌詞とファンキーな踊りで歌い上げたものではないということを。決して熱中症予防のためにノーベルから発売されたライチ味のキャンディーではないということを。

カブレラベネズエラ出身の野球選手であり、野草ではないということを。

決して付着した部分をかくとかぶれることからかぶれ草、それがなまったものが正式名称のカブレラとなったものではないということを。天日干しにすることで成分が抜ける上に頑丈であることから、古くには縄などに利用されたものの、GHQの来日とともに規模が縮小し、現在はレッドデータブックに載るようにもなったわけではないということを。

エッセンシャルが花王のシャンプーであり、日本ハムのあらびきウインナーではないということを。

かむとパリッと音が鳴り、朝食にもポトフにも、おでんにもビールのおつまみにも使われるウインナーではないということを。シャウエッセンではないということを。

ジャン・フィリップ・トゥーサンが父さんではない時期があったということを。リーアム・ニーソンに兄さんではない時期があったということを。

私たちは知らなくてはならない・・・。

アイスには 賞味期限が ないという 君の言葉と アブラゼミの声